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アレルギー性鼻炎が引き起こす合併症

鼻腔と周辺器官は解剖学的に密接に関連しているため、アレルギー性鼻炎による鼻の炎症が他の部位に波及することがあります。また、アレルギー性鼻炎は全身のアレルギー疾患の一部として位置づけられ、他のアレルギー疾患との合併も頻繁に見られます。合併症は患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させるだけでなく、時として重篤な症状を引き起こすこともあるため、早期の発見と適切な治療が重要です。
包括的な診療で合併症を予防
アレルギー性鼻炎は様々な合併症を引き起こす可能性があるため、単独の疾患として治療するのではなく、全身のアレルギー疾患として包括的に管理することが重要です。気になる症状がございましたら、耳鼻咽喉科専門医のいる文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科へお気軽にご相談ください。
副鼻腔炎(蓄膿症)
アレルギー性鼻炎による鼻粘膜の腫脹は、副鼻腔(鼻や目のまわりにある骨で囲まれた空洞)の入口を閉塞し、副鼻腔内の換気機能を低下させます。これにより細菌感染が起こりやすくなり炎症を発症します。
炎症が酷くなると副鼻腔の内部の膿を排泄する機能が低下します。この結果、さらに膿が溜まる悪循環に陥るようになります(慢性副鼻腔炎、蓄膿症)。
症状と影響
膿性の鼻水、後鼻漏、頭重感、嗅覚障害などが主症状です。重症例では鼻ポリープ(鼻茸)を形成し、完全な鼻閉や嗅覚の完全消失を引き起こすことがあります。
中耳炎(滲出性中耳炎)
アレルギー性鼻炎による鼻・咽頭の炎症は、耳管(中耳と咽頭をつなぐ管)の機能不全を引き起こします。耳管の閉塞により中耳の換気が妨げられ、中耳腔に滲出液が貯留する滲出性中耳炎を発症します。
小児では耳管が短く水平に近いため、アレルギー性鼻炎に伴う中耳炎の発症頻度が特に高くなります。鼻炎による中耳炎は小さなお子さんに特に起こりやすいため、耳鼻咽喉科での包括的な管理が重要です。
症状と影響
耳の閉塞感、聞こえにくさ、耳鳴りなどの症状が現れます。慢性化すると鼓膜の陥凹や癒着を引き起こし、将来的な聴力障害のリスクが高まります。小児では言語発達や学習に影響を与える可能性があるため、早期の発見と治療が重要です。
鼻茸(鼻ポリープ)
アレルギー性鼻炎による慢性的な炎症は、鼻粘膜の腫脹だけでなく鼻茸(鼻ポリープ)の形成を引き起こすことがあります。鼻茸は鼻腔内に形成される良性の腫瘤で、主に副鼻腔の入り口付近に発生します。アレルギー性鼻炎患者のうち、特に慢性副鼻腔炎を併発している場合に形成頻度が高くなります。
症状と影響
鼻茸が大きくなると鼻閉が増強し、口呼吸が常態化して睡眠障害や乾燥による喉の痛みなどを引き起こします。また、鼻茸が匂いを感じる器官である嗅裂に生じると嗅覚障害が生じることがあり、重症例では食べ物の味もわからなくなります。
気管支喘息
空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こし、空気の乾燥やタバコの煙、ダニやホコリ(ハウスダスト)といったアレルゲンなど、わずかな刺激に反応しやすくなる病気です。気管支喘息とアレルギー性鼻炎は共通のアレルゲンに反応することも多いため、両者の合併は比較的よく見られます。
症状と影響
発作時に起こる咳や痰、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸時の異音)、呼吸困難などが特徴で、夜間や早朝に悪化しやすくなります。重篤な発作は生命に関わることもありますので、常に喘息発作に対応できるお薬を準備しておくことが大切です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
アレルギー性鼻炎による慢性的な鼻づまりは、睡眠時の口呼吸を引き起こして睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)の原因となります。SASでは睡眠の質が著しく低下し、日中の眠気、集中力低下、疲労感などの症状が現れます。
成長・発達への影響
小児では、睡眠障害による成長ホルモンの分泌低下や、学習能力の低下が問題となります。また、慢性的な口呼吸は顔面の発育にも影響を与える可能性があります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性鼻炎患者では目の症状を合併することが多く、目に起こるアレルギー疾患を総称してアレルギー性結膜炎と言います。アレルギー性鼻炎と同様に、原因によって季節性アレルギー性結膜炎と通年性アレルギー性結膜炎に大別されます。
症状と影響
目のかゆみ、充血、涙、まぶたの腫脹などが主な症状で、重症例では春季カタルという慢性的な結膜炎を発症することがあります。鼻炎と同様、慢性化した症状によるQOLへの影響が問題となります。
